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持続可能な成長
土壌はテロワールの要となる構成要素。シャンパーニュをはじめとする有数のAOCにとって、かけがえのない資産です。テロワールの劣化は、シャンパーニュ造りの継続を危うくし、製品イメージの低下を招きかねません。
様々な劣化の要因から土壌を守ることに、シャンパーニュの生産者たちは常に心を砕いてきました。土壌の外観のみならず、化学的生物的側面からも配慮を怠りません。
そのため、業界では、その文化遺産を守り、価値を高めるために多くの取り組みが行われました。中でも主要な取り組みを挙げます。
最新の指標によると、シャンパーニュの土壌は、生物学的作用が大変活発なレベルにあり、ほとんどの区画で、通常農耕地で見られる値を上回っているということです。
生物多様性と景観は、シャンパーニュ地方の世界遺産の構成要素であり、シャンパーニュのイメージにもつながります。それだけに保護を進め、さらに価値を高めていかねばなりません。
シャンパーニュ地方には、生態学的に貴重な地域が数多く存在し、これらの地域では、天然の生息地を保全しつつ、生物多様性保護に努めなければなりません。ブドウ栽培地内やその周囲に保護植物、保護生物が生息していることもあり、それは丘陵地帯での責任あるブドウ栽培事業と、自然界での生物多様性の両立が可能であることを示しています。
シャンパーニュ地方の景観は、また、他には見られない特徴を備えており、それがユネスコ世界遺産登録の理由のひとつでもあります。
結果、シャンパーニュ業界では、業界の様々な事業活動がエコシステムと景観の保全を阻害しないよう、細心の注意を払っています。
持続的なブドウ栽培事業の発展とビオロジック農法は、この点で大変良い結果をあげています。例えば、作業用建屋を景観に溶け込むように建築し、畑に草を残すよう土壌の手入れ法を変更したり、支柱を見栄え良くエコロジックな木製のものに徐々に差し替えたり、といった例があげられます。
2005年に業界が開始したBIODIV計画では、シャンパーニュ地方のブドウ栽培地の植物品種に関する調査を行い(全部で356種のうち、9種がシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏の絶滅危惧種)、見栄え良く植物遺産としての価値があるだけでなく、益虫の生息場所として農学的機能も果たす植物種を特定することができました。この調査を踏まえて新勧告案を作成しました。業界では、今後も、丘陵地帯に小潅木の生垣を増やしていくほか、地元で芽生えたこうした地域的取り組みを経済的にも支援をしていくことにしています。ブドウ栽培農家がこうした措置のメリットを理解して導入してくれるよう、近年シャンパーニュ地方各地にデモンストレーション用のパイロット区画が作られました。
この第二段階において、業界では、エコロジック農法の基盤(ブドウ畑やその周囲のに草を残し、小潅木の生垣を作るなど)を整え、自然に近い景観をつくりながら、丘陵地帯の保水環境整備を進めています。