よくあるご質問

ブドウ栽培醸造業組合（Syndicat Général des Vignerons）は、1904年に設立された、シャンパーニュ地方のブドウ栽培農家と協同組合を代表する組織です。 同組合の使命は、ブドウ畑の経済的な組織編成、栽培農家へのビジネス支援や、「Champagne de Vignerons」（ブドウ栽培者のシャンパーニュ）の理念で、ブドウ栽培地で醸造されるシャンパーニュワインをプロモーションすることです。 シャンパーニュ委員会の共同会長二人のうち一人が、SGVの組合長を務めます。

シャンパーニュメゾン組合（Union des Maisons de Champagne）は、シャンパーニュを醸造するメゾンによる組織です。こうしたメゾンでは、自社ブランドのアサンブラージュ用に厳選したクリュをブドウ農家から買い付けて醸造を行います（自社でブドウを栽培している場合もあります）。シャンパーニュ委員会の共同会長二人のうち一人が、UMCの組合長を務めます。

原産地統制名称（AOC）シャンパーニュは、特に生産地の地理的範囲を限定することにより、「シャンパーニュ」の名称、ブドウ栽培、ワイン醸造を保護する国家認定ラベルです。また、これにより製造規則の遵守が保証されます。AOCのコンセプトを保証するのは、国立原産地名称品質統制局（INAO）です。AOCシャンパーニュに認定されるためには、一連の厳しい製造規定を遵守する必要があります。原産地統制名称（AOC）シャンパーニュが認知されたのは1936年です。

シャンパーニュ委員会は、ブドウ栽培農家とシャンパーニュメゾンの共通の利益を守る、半官半民のワイン生産同業者団体です。経済的、技術的、環境的な活動、品質の向上、業界の組織編成、コミュニケーション、名称の価値向上、世界におけるシャンパーニュ名称の保護を通じて、ブドウ栽培とワイン生産のために活動しています。

同業者団体とは、主に原材料の生産者や製品加工業者、販売者など、生産にかかわるすべての関係者を集めた組織です。

VDCとはViticulture Durable en Champagne（シャンパーニュにおける持続可能なブドウ栽培認証）の略で、シャンパーニュ地方ブドウ栽培者の環境パフォーマンスを正式に認めることを目的として、シャンパーニュ委員会により導入されました。
持続可能な開発の原則をブドウ栽培に応用したもので、3つの行動指針に基づいたシャンパーニュ地方のブドウ栽培者の自主的な取り組みです。
- 生物多様性フットプリント。
- カーボンフットプリント。
- ウォーターフットプリント。
今日、シャンパーニュ地方のブドウ栽培地の36％がこの認証を取得しています。

シャンパーニュ業界は、特にこの20年間のさまざまな取り組みを通じて、すでに優れた実績を誇ります。例えば、ボトルの軽量化によりボトル1本あたりのカーボンフットプリントを20％削減、農薬と窒素肥料の使用を50％削減、産業廃棄物の90％を処理・再利用、ワイン醸造で出る廃水と副産物の100％を再利用、栽培地の50％がHaute Valeure Environnementale（環境価値重視認証）/Viticulture Durable en Champagneのエコ認証取得、などです。
また、シャンパーニュ地方は、農作物を害する昆虫の性フェロモン作用を利用した交信かく乱の実践はフランス国内第一位、他のワイン産地に先駆けて電動トラクターを導入し、カーボンフットプリントを実施（2003年）した草分け的地方でもあります。

環境に最大限に配慮した生産は、名高い原産地統制名称シャンパーニュの義務であり、業界では長年この課題に取り組んでいます。この取り組みは、この20年間でいっそう強化されており、持続的発展目標に組み込まれています。明確な目標：
- 2030年までに100％の栽培地でエコ認証取得。
- 2050年までにカーボンフットプリントを75％削減。

はい。ビオロジック農法のシャンパーニュにはAB（Agriculture Biologique）認証ラベルが付いています。この認証により、ワインに使用するブドウの栽培方法がビオロジック農法に基づいていることは保証されますが、カーヴでの作業についてはまだ規制が確立していないため保証されません。また、「Nature & Progrès」（ナチュール エ プログレ）というラベルもあります。これは、一連の醸造規定に従って造られたワインであることに加えて、あらかじめビオ認証（AB）を受けていることが条件となります。ビオディナミ農法のシャンパーニュには、Demeter（デメター）やBiodyvin（ビオディヴァン）といった認証があります。

理想的なグラスは、泡が上っていくことができるように十分な高さとふくらみがあり、上部が細まっていて（チューリップ型）、アロマが凝縮されるようになっているものです。グラスは、洗剤を使わずお湯だけでよく洗います。そのまま乾かすか、綿のふきんで拭くことをお勧めします。これは、グラス表面の状態を良好に保つことによって、泡の生成を促すとともに、泡のつらなりが表面に長くとどまることができるようにするためです。

クープ型グラスは口が広く、十分な高さがありません。そのため、泡立ちがすぐに消えて、アロマもすぐ発散してしまうので、この型のグラスはシャンパーニュのテイスティングには適していません。
フルート型グラスはシャンパーニュを飲むときによく使われますが、テイスティング用としてはあまり好まれません。細長い形でアロマが立ちにくいからです。
理想的なグラスはチューリップ型、つまり、泡が上っていくことができるように十分な高さがあってふくらんでおり、上部が細くアロマが凝縮されるようになっているものです。

注ぐ量はグラスの3分の2までで、2回に分けて注ぐのが理想的です。相手のグラスを手に取って注ぐのはお勧めできません。

シャンパーニュサービスの推奨温度は8～10℃です。

白、ロゼ、ヴィンテージ、ブリュット、甘口など、シャンパーニュのスタイルは実にさまざまです。年末年始やバレンタインデー、誕生日、受験合格、結婚や出産、洗礼など、お祝いにふさわしいシャンパーニュ。一年を通じて大切な人と時を分かち合う機会は数多くあります。しかしそれだけではありません。ブランチや夕食、テイスティングなど、いろいろなシャンパーニュを楽しむ機会は一年中いつでも作り出すことができます。家族や友人が集まってテーブルを囲むひとときを、いっそう楽しくしてくれます。

シャンパーニュをサービスするときは相手のグラスに直接注ぐので、グラスを傾ける必要はありません。

サービスの30分前に、水と氷を入れたクーラーに沈めて冷やします。または冷蔵庫の下段に数時間寝かせて冷やします。

コルク部分をしっかり押さえながらミュズレ（コルクワイヤー）とキャップシールを外します。キャップシールの開封帯をひっぱってください。 次に、コルク部分をしっかり押さえたまま、ボトル本体をつかんで、30～45度傾けます。コルクの飛ぶ方向を人に向けないように注意してください。ボトルをゆっくり回し、コルク栓が飛び出さないように注意しながらゆっくりと瓶口から抜きます。

最も一般的なシャンパーニュボトル（750ml）で、容量125mlのフルート型グラス6杯分です。これは目安で、グラスの大きさによって変わります。

出荷前の最後の段階は、ボトルを美しく整えることです。コルク栓とコルクワイヤーの上からキャップシールでカバーし、コルレットとよばれるシールでボトルに固定します。ボトルの表と裏にはラベルを貼ります。ラベルには、法で定められた記載義務事項の他、消費者向けの情報も記載できます。

規定により、ティラージュ（瓶詰め）後、ノン・ヴィンテージワインは最低15か月間、ヴィンテージワインは最低3年間、カーヴで熟成させなければなりません。実際には多くの生産者が自主的に熟成期間を数年間延長しています。

シャンパーニュの泡は、瓶内発酵の結果生まれる自然な泡です。この発酵プロセスにおいて、酵母がブドウに含まれる糖分を分解し、アルコール、炭酸ガスを生み出します。この炭酸ガスがワインに溶け込み、泡が誕生するのです。

はい。シャンパーニュはスパークリングワインに属するワインです。そのため、「シャンパーニュワイン」とも呼ばれます。

ボトル1本分のシャンパーニュの製造には1.2kgのブドウが必要です。

シャンパーニュ地方の人々は、発泡プロセスを確立するために、瓶内発酵を導入しました。これがシャンパーニュ方式です。タンク内で一次発酵を行い、ブドウの糖分によってムー（果汁）がワインになります。この工程の最後に、ワインに糖分が残らないようにします。次に、瓶内発酵により、二酸化炭素が発生し、これが瓶内で泡（エフェルヴェサンス）となります。

ロゼ・シャンパーニュを造る方法には、マセラシオン、または白ワインと赤ワインのアサンブラージュの2つの方法があります。マセラシオンは、圧搾前に黒ブドウをタンクに漬け込む（セニエ法の場合も）数時間から長時間の浸漬、または圧搾機の中でのごく短時間の浸漬により、ロゼ色を得る方法です。アサンブラージュによる方法では、ベースとなる白ワインにシャンパーニュ産の赤ワインを（5～20％ほど）加えます。

黒ブドウを使って白のシャンパーニュを造るには、除梗せずブドウの房全体をゆるやかに圧搾し、果汁が「ガトー」と呼ばれるブドウの搾りかすを通って速やかに流れ出ることが必要です。こうすることで、果汁は黒ブドウの果皮に含まれる色素に染まることなく、圧搾機から流れ出ることができます。

一般的に、アペリティフには、ブリュット（ノン・ヴィンテージ）、ブラン・ド・ブラン（ノン・ヴィンテージ）など、特に際立った特徴がなくアルコール分の少ないシャンパーニュがお勧めです。軽い塩味のビスケットやナッツ、グリーンオリーブ、角切りにしたグリュイエールチーズなどを添えるとよいでしょう。

シャンパーニュワインは多様性そのもの。アロマはテロワールやセパージュによって異なります。アロマには、大きく分けて、「若々しいアロマ」、「成熟したアロマ」、「プレニチュードのアロマ」の3つのカテゴリーがあります。花（白い花、アカシア…）、フルーツ（柑橘系、クルミ…）、ミネラル（ヨード、チョーク…）、植物（ミント、干し草…）、デニッシュ・ペストリー（ブリオッシュ、ビスケット…）、ミルク（キャラメル、バター…）、スパイス（ハチミツ、シナモン…）、焦臭性のアロマ（カカオ、コーヒー…）など、さまざまです。

シャンパーニュのフレッシュな口当たりと泡立ちを保つために、グラスのボウル部分を持たないことをお勧めします。手の温かみがグラスに伝わり、また上のほうを持つほど手の匂い（石鹸や香水など）がワインの香りと混ざって、香りの質が変わってしまうためです。テイスティングのプロは通常グラスのプレート（テーブルに接する底の部分）を持ちます。アマチュアの方は、ステム（細い脚の部分）で十分です。

アントルメ、ケーキ、赤系のフルーツをベースにしたデザートなど、甘めの料理やデザートには、ドザージュの割合が高い「セック」または「ドゥミ・セック」のシャンパーニュがよく合います。但し、チョコレートを使用したデザートとの相性はよくありません。

メインディッシュには、ノン・ヴィンテージのブリュットを選ぶのも悪くありません。最も一般的なシャンパーニュで、料理の種類を問わず、食事の最初から最後までをこのシャンパーニュで通すことができます。料理とシャンパーニュの相性について詳しく知りたい場合は、ワイン専門店のアドバイザーに相談されることをお勧めします。

1リットルあたりの糖分が12gから17gのシャンパーニュです。ドザージュの作業で、「門出のリキュール」とも呼ばれるリキュールを加えることで糖分が添加されます。

はい。1リットルあたりのグラム数で表わされる糖分含有量によって分類が異なります。ブリュット（12g未満）、ドゥミ・セック（32g～50g）、セック（17～32g）、エクストラ・ドライ（12g～17g）、ドゥー（甘口）（50g以上）、エクストラ・ブリュット（0g～6g）、また、糖分含有量が3g未満で、デゴルジュマン後の加糖がないシャンパーニュはブリュット・ナチュール、パ・ドゼ、ドザージュ・ゼロなどと呼ばれます。

シャンパーニュのアルコール度数はおよそ12%です。醸造過程でのドザージュの量にかかわらず、この度数は各種シャンパーニュで +/-0.7%とほぼ変わりません。シャンパーニュもお酒。節度を持って楽しくお飲みください。

ラベルを読み解くのは難しいことではありません。その上、ワインについてたくさんの情報を得ることができます。シャンパーニュのラベルには、法で定められた記載義務事項がいくつかあります。ラベル、裏ラベル、コルレット（瓶首のラベル類）には、原産地統制名称（AOC）の「Champagne」、ドザージュまたは糖分の含有量（ブリュット、セック、ドゥミ・セックなど）、アルコール度（%vol.＝容量パーセンテージ）、容量（l、cl、ml）、ブランド名、生産者名、生産者の本社所在地のコミューン（村）名と「FRANCE」の国名、登録番号、ロット番号、「Produit de France」の表記、アレルギーの原因となる成分の表示と妊婦に対する注意事項が記載されていなければなりません。

ボトルに年号が記載されているものはヴィンテージ・シャンパーニュです。ヴィンテージ・シャンパーニュはその年のブドウのみを使用して造られるため、その年号が収穫年となります。ほとんどのシャンパーニュは、収穫年の異なるワインをアサンブラージュして造られるノン・ヴィンテージワインです。そのため、年号の表記はありません。

1リットルあたりの糖分が17gから32gのシャンパーニュです。ドザージュの作業で、「門出のリキュール」とも呼ばれるリキュールを加えることで糖分が添加されます。

1リットルあたりの糖分が32gから50gのシャンパーニュです。ドザージュの作業で、「門出のリキュール」とも呼ばれるリキュールを加えることで糖分が添加されます。

1リットルあたりの糖分が50g以上、つまり最も甘口のシャンパーニュです。ドザージュの作業で、「門出のリキュール」とも呼ばれるリキュールを加えることで糖分が添加されます。

ブラン・ド・ノワールは、ピノ・ノワールやムニエなどの黒ブドウのみを使用して造られるシャンパーニュです。

ブラン・ド・ブランは、シャルドネ、ごく稀にピノ・ブラン、ピノ・グリ、アルバンヌ、プチ・メリエといったシャンパーニュ地方で認可されている他の白ブドウ品種のみを使用して造られるシャンパーニュです。

1リットルあたりの糖分が12g未満のシャンパーニュです。ドザージュの作業で、「門出のリキュール」とも呼ばれるリキュールを加えることで糖分が添加されます。

ブリュット・サン・ザネ（BSA）は、「ノン・ヴィンテージ」ブリュットとも呼ばれる最も一般的なシャンパーニュです。異なる収穫年のワインをアサンブラージュすることで造られるキュヴェ。ヴィンテージ・シャンパーニュではこれは不可能です。通常、各ブランドが毎年創り出す同じスタイルのシャンパーニュ、つまりシグネチャーワインと呼ばれるものです。

ドザージュのためのリキュールの添加がない、1リットルあたりの糖分が3g未満のシャンパーニュです。

ロゼ・シャンパーニュは、ロゼ色と濃厚な味わいが特徴です。黒ブドウを漬け込んでロゼ色を得るマセラシオン、または赤ワインとのアサンブラージュにより造られます。

その年のブドウのみを使用し、リザーブワインを加えずに造られるシャンパーニュです。すばらしい作柄の年に、ヴィンテージ・ワインを造ることを決めます。ヴィンテージ・シャンパーニュは優れた品質と個性を持つワインとして知られます。

クリュは、ブドウを栽培するコミューン（村）のことです。シャンパーニュ地方のブドウ栽培地域には、5つの県にまたがる319のクリュ（村）があります。

2007年のINAO[用語集]Institut national de l'origine et de la qualité／国立原産地名称品質統制局[/用語集]の改革以前は、シャンパーニュにはクリュ（村）の格付けがありました。1911年、ブドウ栽培農家とメゾンの話し合いにより、初めて正式に制定されたもので、村ごとに80～100％の格付けが存在していました。格付け80％の村は公定価格の80％、格付け95％の村は95％というように、売買価格を受ける仕組みです。そして、1952年7月1日の政令により、格付け100％の村のみを対象とした「グラン・クリュ」、格付け90～100％の村のみを対象とした「プルミエ・クリュ」という名称が正式に導入されました。2010年、INAOによってこの公定価格の制度は廃止されましたが、これまで「グラン・クリュ」、「プルミエ・クリュ」に指定されていたコミューンは、引き続きその名称を維持することが認められました。

1927年7月22日制定の法律により、シャンパーニュの生産に許可されるブドウ品種（セパージュ）が決まりました。ピノ・ノワール（黒ブドウ）、ムニエ（黒ブドウ）、シャルドネ（白ブドウ）が、大部分を占めています。その他に、アルバンヌ、プチ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリ（すべて白ブドウ）も認可されていますが、その栽培面積は全面積の0.4％以下です。

シャンパーニュは、パリから北東に約150kmのところにある、同名のシャンパーニュ地方で生産されています。1927年制定の法律、原産地統制名称（AOC）により、栽培地域が限定されており、広さは約34,200ヘクタールに及びます。シャンパーニュ地方のブドウ畑はフランスのブドウ栽培地域としては最も北に位置します。

テロワールは、気候や地質学的要因、特定のセパージュ（ブドウの品種）、特徴的な栽培方法など、ある地域にその地域独特の特性をもたらす一連の要因の総称を言います。シャンパーニュ地方のテロワールは、地理的位置（北）、土壌の種類（大部分が石灰質）、地形（斜面、起伏が多い）、気候（大陸性気候と海洋性気候）、そして独自の栽培技術よって特徴付けられます。

マルヌ県、オーブ県、エーヌ県、オート・マルヌ県、セーヌ・エ・マルヌ県の5つの県にまたがっています。

シャンパーニュ地方のブドウ畑がある地理的地域は、「Champagne Viticole／シャンパーニュ・ヴィティコル」と呼ばれます。

ブドウ畑は全体で約281,000のパーセル（区画）が存在し、その平均面積は12アール（0.12ヘクタール）です。

ブドウ畑は4つの大きな地域に分かれています。モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブラン、コート・デ・バールです。

シャンパーニュ地方の土壌の種類は、大部分が以下で構成される石灰質です。
- 白亜質石灰岩：「貯水池」の役目を果たし、温度を一定に保つ。
- 泥灰岩：湿度を適度に保ち、太陽光の熱を備蓄。
- 硬質石灰岩：水分量を適度に抑制し、太陽の放射熱を備蓄して放出。
- 砂土：空気を含み水はけがよい。
- 粘土：水分や養分を保つ。
このタイプの下層土は水はけがよく、シャンパーニュ地方のワインに特別なミネラル感をもたらします。

シャンパーニュ地方のブドウ畑は、海抜90mから300mの丘陵地帯にあります。斜面はほとんどが南向き、東南向き、東向きで、平均斜度は12％、中には60％近い斜面の畑もあります。このように、シャンパーニュ地方のテロワールは適度な傾斜があり、ゆるやかな起伏に富んでいるため、ブドウの樹の間隔を離して植えることができ、余分な水分を排出しやすくなっています。

シャンパーニュ地方のブドウ畑は、ブドウ栽培地としてはフランスの北限に位置し、大陸性気候と海洋性気候という2つの気候の影響を受けています。 大陸性気候では、冬の霜でブドウ畑は大きな被害を受けることもありますが、一方で夏には日照に恵まれます。海洋性気候は、気温を一定の低温に保ち、季節ごとの変動はわずか。定期的に雨が降り、年間を通じて寒暖の差が少ないのが特徴です。

ユネスコ（UNESCO）は2015年7月4日、「シャンパーニュ地方の丘陵地帯、メゾン、カーヴ」を世界遺産に登録することを決定しました。

こうして、シャンパーニュワインを生み出したこの地方のブドウ栽培文化の優れた普遍的価値はもちろん、…
…マルヌ県、オーブ県、エーヌ県、オート・マルヌ県、セーヌ・エ・マルヌ県の5県にまたがるシャンパーニュ原産地統制名称（AOC）栽培地域の319のコミューンで受け継がれるシャンパーニュワインの生産・普及への取り組み全体が、認められたことになります。

泡の平均の直径が0.5mmで、シャンパーニュには1リットルあたり12gの炭酸ガスが含まれているとすると、計算によって、100ミリリットルのグラスには1,100万個の泡が含まれることになります。ただし、この数字はあくまで理論上のものにすぎません。というのも、炭酸ガスの80%近くは、泡にならずに表面から空気中に放出されてしまうからです。

シャンパーニュボトルの栓としてコルクが初めて使われたのは、オーヴィレール修道院とされており、1737年には他の修道院とコルク栓を交換していたことが記録に残されています。1740年、カタルーニャ地方から来た最初のコルク職人がランスとエペルネの村に定住しました。

シャンパーニュのキャップは、フランス語で「プラーク・ド・ミュズレ」（王冠）とも呼ばれます。ミュズレ（コルクワイヤー）装着前のコルクを保護する役割があります。シャンパーニュキャップの収集家（フランス語で「プラコミュゾフィル」）は非常に多く、数千のキャップを掲載した目録が毎年更新されるほどです。

コルク栓は最初は円筒形をしていますが、数年が経過すると末広がりの「スカート」型になります。ボトルを寝かせて保存していた場合、コルク栓は時間の経過とともに「釘」の形になります。こうした形の変化は、シャンパーニュの品質とは何ら関係ありません。

シャンパーニュのコルク栓を押さえている針金（コルクワイヤー）をフランス語で「ミュズレ」と言います。ボトル内のガスの力で栓が飛んでしまうのを防ぎます。

シャンパーニュのラベルの収集をする人のことをフランス語で「エノグラフィル」と言います。

シャンパーニュの泡は、グラスに注いだ瞬間にグラスの中ではじけます。この泡は、グラス内側の表面に付着した、または液体中に浮遊する微粒子や、グラス表面のくぼみのある部分から生まれます。どれほどきれいに見えてもグラスは決して完璧な状態ではなく、そうした「不完全な」場所から泡が生まれやすいのです。

シャンパーニュの王冠の収集をする人のことをフランス語で「プラコミュゾフィル」と言います。

ボトル内の圧力は5バールから6バールです。これは、タイヤの空気圧の3倍に相当します。

ボトルのガラスはたいていグリーンか茶色です。これらの色は紫外線を通しにくく、シャンパーニュの繊細な香りを損う光劣化を防いでワインを保護します。

コーペラティヴ・ド・マニピュラシオンは、組合員が栽培したブドウからつくられた原酒でシャンパーニュをつくり、組合ブランドとして出荷します。

開始日は、ブドウの成熟度によって各地域で異なります。
シャンパーニュのブドウ畑には、収穫開始日を決めるために600のチェックポイントがあります。このシステムは1956年に設置されたもので、ブドウを最良な状態で摘み取ることができるように収穫日を確定します。ブドウの房が色づき始めたところから、週2回ブドウの房を採取し測定を開始します。チェック項目は、ヴェレゾン（色づき）の度合い、房の平均重量、糖度と酸度などです。シャンパーニュ委員会が毎年これらのデータをもとに、コミューン（村）ごと、セパージュ（ブドウ品種）ごと、ブドウの成熟度により収穫開始日を決定します。こうして、ブドウが最適な成熟度に達した時点で収穫することで、ワインの品質を高めることができるのです。

シャンパーニュ地方は、今でもブドウの収穫をすべて手摘みで行っている数少ないワイン産地の一つです。規定により、ブドウの房をそのまま圧搾することが義務付けられていますが、機械による収穫ではブドウの樹をゆするため、房だけでなく実も落ちてしまいます。現在のところ、ブドウの房を丸ごと摘み取る方法は、手摘み以外にありません。

シャンパーニュ地方の植樹密度は平均で1ヘクタールあたり8,000株です。このように高密度にする目的は、ブドウの品質を高めるためです。株が多ければ多いほど、養分を求めてブドウの樹同士が競合し、1株あたりのブドウの実のつき方が少なくなります。養分のすべてが少ない実に行きわたり、ブドウの質が高まるのです。

収穫は、開花期の半ばから約90日後の、通常9月に始まります。ただし、天候の影響に大きく左右されます。

製造済みのボトル入りワインを購入し、自社で自分のラベルを貼って販売する販売業者のことです。

ネゴシアン・マニピュラン（NM）とは、ネゴシアン兼醸造業者のことで、自身が所有する畑で栽培したもののほかに、ブドウやムー（果汁）、原酒を購入してシャンパーニュをつくる個人または法人を指します。

ブドウ樹の寿命は非常に長く、50年以上生き続けることができます。しかし、樹齢がそれ以上進むと収量が減少し始めます。

ブドウ畑での作業は、ヴィニュロンの仕事の核心となるものです。ほとんどが手作業で、労働時間は1ヘクタールあたり数百時間にのぼります。収穫後、最初に行うのが剪定です。収穫の質を左右するため、ブドウ畑での基本となる重要な作業です。そして発芽後、ブドウの生育過程でさまざまな作業が続きます。摘芽、上のワイヤーを引き上げる新梢誘引、新梢を離して留め具で固定するパリサージュ、そして、収穫期まで続くロニャージュ（夏期剪定）です。

顧客の要請で、顧客名で作られたラベルのこと。レストランやホテルなどがプライベートラベルとして、いずれかのシャンパーニュ製造業者に依頼して製造してもらうものです。

レコルタン・コーペラトゥール（RC）は、組合員自身が収穫したブドウを組合へ持ち込み、協同組合からムー（果汁）や醸造中の原酒を仕入れて醸造したり、準備の整ったワインを仕入れて販売します。

レコルタン・マニピュラン（RM）は、自分の畑で収穫したブドウからつくられた原酒のみを使ってシャンパーニュをつくるブドウ栽培業者兼醸造業者のことです。

収穫時期には、シャンパーニュ地方の34,200ヘクタールにおよぶブドウ栽培地域全体で約12万人の季節労働者が手摘み作業に携わります。1ヘクタールあたり約4人が働くことになります。

規定収量は決まっておらず、毎年変わります。1ヘクタールあたりの最大収穫量を決めるのは、シャンパーニュ地方のメゾンとヴィニュロンの代表で構成される、Bureau Exécutif du Comité Champagne（シャンパーニュ委員会執行部）です。シャンパーニュ地方では、この年間収量を、欧州連合が定めた最大収量15,500kg/ヘクタールの範囲内に設定しています。

シャンパーニュMOOCは、シャンパーニュについて学ぶことができるEラーニングプログラムです。シャンパーニュの醸造、テロワール、歴史、ワインの多様性とテイスティングの秘密をテーマにした4つのモジュールで構成されています。

フランスの初代国王クロヴィスが洗礼を受けたのはランスでした。そのため、シャンパーニュワインは戴冠式のワイン、「王のワイン」となりました。
898年から1825年まで、フランス国王の戴冠式はこの地で執り行われました。言い伝えによると、戴冠式後の祝宴では、シャンパーニュワインがあふれんばかりに供されたということです。間もなくその味わいと繊細さが高く評価され、シャンパーニュ地方を訪れる国王にはワインが捧げられました。こうして、シャンパーニュの伝説は始まります...。

18世紀初頭から19世紀にかけて、特に発泡技術が確立されたことで、シャンパーニュ生産技術が確立され、現在のシャンパーニュが誕生しました。発泡は自然の現象であり、不安定で複雑なプロセスです。
シャンパーニュ地方の人々は、発泡プロセスを確立するためにシャンパーニュ方式と呼ばれる二次発酵を導入しました。発酵がいったん中断して再開する場合、瓶内の正確な圧力を得ることは困難です。シャンパーニュ方式では、タンク内で一次発酵を行い、ブドウの糖分によってムー（果汁）がワインになります。この工程の最後に、ワインに糖分が残らないようにします。次に、瓶内二次発酵により、二酸化炭素が発生し、これが瓶内で泡（エフェルヴェサンス）となります。
これと並行して、耐性の高いガラス瓶や、デゴルジュマンで溜まった澱を取り除く動瓶用テーブル（澱下げ台）の開発など、シャンパーニュの製造工程にさまざまな革新がもたらされました。こうして、シャンパーニュ製造技術は確立され、今日もその方法は変わっていません。

もともと、シャンパーニュ地方ではスティルワイン、つまり非発泡性のワインが造られていました。収穫後、圧搾してできたムー（果汁）を樽に移して発酵させていました。しかし、寒さのせいで発酵が短い期間しか続かず、糖分の一部がワインの中に残り、春になると再び発酵が始まります。発酵再開時に発生する炭酸ガスのせいでワインが「泡立ち」、樽からあふれるほどでした。冬の気候条件やワインの消費時期にもよりますが、こうして造られるワインは発泡性がありました。
17世紀末、シャンパーニュ地方の人々は、ワインの保存性を高め、輸送に耐えるようにするために、樽詰めではなく、瓶詰めをするようになりました。瓶に閉じ込められた泡が、グラスの中で表現されるようになったのです。これは、すぐに大好評を呼びました。この時期、ワインの発泡はまだ不安定でしたが、シャンパーニュ地方の人々はその後発泡技術の確立に努めていきます。これがシャンパーニュのはじまりです。

シャンパーニュは誰が発明したわけでもありません。発酵は自然の現象で、ワインの発泡は古代から世界各地で観察されてきました。しかし、この現象を理解し、発泡技術を確立して地元のブドウを使ったスパークリングワインを製造しようとしたのは、シャンパーニュ地方が初めてです。

シャンパーニュは、その名の由来となったフランス北東部のシャンパーニュ地方で生まれました。

シャンパーニュの第一の市場はフランスです。売上高で見る主な輸出先は、アメリカ、イギリス、日本となっています。

シャンパーニュの年間平均出荷ボトル数は3億本です。

シャンパーニュメゾンは、自社畑のブドウに加え、シャンパーニュ地方のブドウ栽培者からブドウを買い付けて自社でワインを製造し、自社ブランドとして販売します。

協同組合はブドウ栽培者の団体で、二種類あります。一つは、栽培者が圧搾機や醸造生産用具を共有するRécoltant Coopérateur（レコルタン・コーペラトゥール）、もう一つは、組合員からブドウを買い、造られたワインを組合のブランドとして出荷するCoopérative de Manipulation（コーペラティヴ・ド・マニピュラシオン）です。

シャンパーニュメゾンの数は370です。メゾンのほとんどがいわゆるネゴシアンです。

シャンパーニュ地方には130の協同組合があります。

ヴィニュロン（ブドウ栽培者）数は16,200人です。収穫したブドウをメゾンに売却する栽培者や、ブドウ栽培業者兼醸造業者（レコルタン・マニピュラン）として自身でシャンパーニュを生産しない場合は、協同組合員になる栽培者もいます。

ブドウ栽培者のことです。収穫したブドウをメゾンに売却する栽培者や、シャンパーニュを自ら生産しない協同組合員（レコルタン・コーペラトゥール）の栽培者もいます。
Récoltant Manipulant（レコルタン・マニピュラン）とは、自分の畑で収穫したブドウから造られた原酒でシャンパーニュをつくり、自分のブランドとして出荷するブドウ栽培業者兼醸造業者のことです。

シャンパーニュを最適な状態で保存するには、異臭などのない、光の当たらない場所に保管すること、保管場所の換気をすること、ボトルを立てて、または横にして保存することが必要です。保管に最適な温度は10～15℃、最適な湿度は60～80％です。

シャンパーニュは、若いワインが第三アロマ（熟成の特徴）を作り出せるように、最低熟成期間を経て市場に出されます。味わいや生産者が判断する熟成年数によって、第三アロマが現れるまでシャンパーニュを保存することができます。

シャンパーニュは、カーヴで10～15℃の温度で保存するのが最適ですので、冷蔵庫での保存は避けたほうがいいでしょう。サービスする場合は、数時間前に冷蔵庫の下の段に入れて冷やします。

最もクラシックなボトルは「レギュラーサイズ」（750ml）と「マグナム」（1.5L）で、特にイベントの際によく見られます。その他にも、小型のものから特別なイベント用まで、シーンに合わせていろいろなサイズがあります。以下はその種類です。
カール（200ml）、ドゥミ（375ml）、ミディアムまたはパント（500ml）、レギュラーサイズ（750ml）、マグナム（1.5L）、ジェロボアム（3L）、レオボアム（4.5L）、マチュザレム（6L）、サルマナザール（9L）バルタザール（12L）、ナビュコドノゾール（15L）、サロモン（18L）、スーヴェラン（26.25L）、プリマ（27L）、メルキゼデックまたはミダス（30L）。

コルク栓が乾くおそれがあるので、ボトルは立てて保存しないように、ということがしばしば言われます。しかし、カーヴの空気は湿っているうえに、ボトルの中には液体が入っているので、コルク栓が乾燥するおそれはありません。したがって、ボトルは立てても寝かせてもどちらでもかまいません。一般に寝かせて保存するのは、その方がボトルを整理しやすいからです。

栓を開けたボトルは、開栓直後に特殊なキャップで栓をすれば1～2日は保存できます。これは金属製で、2つのツメがボトルの口部の下にひっかることでゴムワッシャが天面に押し付けられ、ボトルが密封状態になります。このタイプのキャップは「ストッパー」と呼ばれるもので、ワインショップで販売されています。

シャンパーニュもワインのひとつ。飲む前にボトルを休ませることが大切です。長時間の輸送の後は、数日休ませてから飲みましょう。

シャンパーニュ地方の主な都市は、ランス、エペルネー、シャロン＝アン＝シャンパーニュ、シャトー＝ティエリ、セザンヌ、トロワ、バール＝シュル＝オーブです。シャンパーニュ地方には、素晴らしい遺産や遺跡、建築物が数多くあります。

冬は寒さが厳しいところもあるとはいえ、シャンパーニュ地方は季節を問わず観光できます（暖かいコートがあれば心配なし。それに、夏でもカーヴめぐりにはコートを持参するに越したことはありません）。宿泊施設、料理、カーヴめぐり、美術館や博物館、村々、歴史的建築、美しい風景など、さまざまな魅力があり、ブドウ畑も四季折々の多彩な表情を見せてくれます。また、季節によって、栽培者が畑で行う作業もさまざまです。こうして、シャンパーニュ地方を訪れるたびに、ユニークな体験ができるのです。

Route Touristique du Champagne（シャンパーニュ街道）とは、シャンパーニュ地方の多彩なブドウ畑を楽しく発見することができる、標識案内のあるシャンパーニュめぐりのためのコースです。600km以上にわたって、ランスとその周辺、エペルネーとその周辺、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区、コート・デ・バール地区、ヴィトリー丘陵地帯の5つのルートがあります。