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シャンパーニュ産スパークリングワインだけがシャンパーニュ
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テロワールと原産地統制名称

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シャンパーニュのブドウ栽培とその名称の歴史

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エフェルヴェサンス(発泡)の起源

メーヌ大学近代史学准教授の歴史学博士、ブノワ・ミュセ氏によるシャンパーニュ史概略
2009年9月11日

シャンパーニュ、もしくはシャンパーニュ地方における地域性を持った初の発泡性ワイン醸造の歴史

ワインの発泡や泡形成の現象は、ワイン作りの世界では、古くから知られていました。現在知られている最古の記述は、紀元522年10月23日付のエジプトのパピルス紙のもので、ワイン販売取り消しに関する複数の事例に触れる中で、春の発酵再開について言及しています。言い換えれば、この二度目の発酵は、通常軽く泡立つ程度のものにすぎませんが、ワインの欠陥のひとつと見なされていたのです。1

ヨーロッパでは中世に、この二度目の発酵について言及した文書がありますが、どこのワインか特定されていません。1200年ごろ、フランス北部出身のジュアン・ボデルは、「聖二コラの遊戯」という芝居の中で、居酒屋での試飲の場面を演出しました。役者の一人は名の知れない泡立つワインについてこう語っています。「泡が食べられる様子を見てごらん。跳ねて光って震えている。そして舌の上で転がすと極上のワインになる。2

この自然な泡立ちは一部のワインですでに知られていました。しかし必ず起こるものでもなく、メカニズムもわからず、人の手でこの現象を再現することもできませんでした。1320年には、ある詩の中でエペルネーのワインについて「澄んで輝き、力強く繊細でフレッシュ、舌の上で泡立つ」とうたわれています。しかしこの泡立ちは、シャンパーニュ地方のワインに限られたものではありませんでした。1571年、あるフランス人医師が作った一覧表では、シャンパーニュのワイン(ランス)とブルゴーニュのワインが区別なく列挙されています。

 

グラスの中で泡立つワイン
トネール産の上質ワインのように
シャブリや、エクス、ボーヌやランスのワインのように
健康な人だけが飲める
フランスのどこの街でも
すばらしいワインで満たされる
そして体には精神が宿る
余りに力強いので値段などどうでもよい
しかし、こうしたワインは水で割って飲まねばならない 4

これを見る限り、泡立つワイン(発泡性ワインとは異なる)は、すでに知られていましたが、特に貴重なものではなかったようです。5 当時は用心のために水で割って飲まれていました。あるイタリア人の医師の文書が1572年にフランス語に訳されていますが、批判的な文調で「グラスの中で泡が跳ね、死人が飲むのにふさわしい」と書いています。6

1670年から1690年にかけての、発泡性ワイン、シャンパーニュの誕生は、これまでの泡立つワインとは一線を画するものでした。一つには、泡立つワインがはじめてシャンパーニュ地方という特定の地域に結びつけられていること、二つ目に、初めて特殊な醸造技術が完成を見たことがその理由です。

1662年12月17日にロンドン王立協会に提出された英語の覚書には、確かに、どのようにしたらワインを発泡させられるかというレシピが記載されています。しかし、これはグラスに注ぐ直前に、できあがったワインの中に糖分を加えるというもので、醸造中に行うものではなく、特定のワインに用いる手法というわけでもありませんでした。

1676年、サー・ジョージ・エサリッジが、劇作品「当世風の男」の中に発泡性のシャンパーニュのワインを登場させると、まずイギリスで反響を呼び、次にフランスでも1700年ごろ評判となりました。7 一風変わったワイン(栓が飛び出し、泡立つ)は五感を刺激します。しかし、値の張ることから、まずは貴族階級に広がりました。生産が難しいため、価格を上げざるを得なかったのです。ワインはまず樽に6か月以上保存し、春に瓶詰めをし、その後秋まで待たねばなりませんでした。発泡が起こるのは、春、ワインの中に糖分が十分に残留し、自然に二次発酵が起こる場合のみでした。そのため、1710年当時、毎年1万本程度しか流通していませんでした。8

それは、当時のシャンパーニュの作り手が、この二度目の発酵の仕組みを理解していなかったからです。発泡をしないのは、糖分不足が原因であることがよくありました。それにも増して、発泡中のボトル破裂が頻発しました。特殊な技術の開発には、1700年から1800年までの1世紀余りの歳月と、数々の生産者たちの努力が必要でした。麻そして金属のワイヤーを用いてコルクの打栓をする、強度の強いボトルに変更する、年によりボトルのティラージュ(瓶詰め)時期を調整する、ボトルに入ったワインに加糖する、ワイン貯蔵に温度一定のカーヴを使用する、デゴルジュマンの技術で澱抜きをする、といった新しい技術が1780年から1790年ごろにかけて、次々と採用されました。

18世紀、このタイプの発泡性ワインは、シャンパーニュ地方のワインだけでした。1701年から、フレティエールはその辞書に「mousseux(泡立ちのする)」という単語を加え、次の定義を挙げています。「発泡するシャンパーニュのワインにのみ用いる」9 1770年、ブルゴーニュ地方のブルジョワ、ブギエはシャンパーニュ地方をあまり評価していませんでしたが、それでもこの地方が発泡ワイン製造技術を持つ唯一の地方であることは認め、次のように書いています。「この技術だけが、何もないところから今までになかったワインを生み、これまでに存在しなかった食物に名声を与えることができる」10

しかし、こうした技術は、1790年から1800年代以降、他のワイン産地でも使われるようになります。1792年にはアルボワで使用されたという文書が残っており、スイスでも何度となく使われています。1833年、イギリス人作家であるサイラス・レディングは、フランスに数種の発泡性ワインがあると書いています。ディ、アルデッシュのサン・ペレ、リムー、アンジュー、ベルフォールなどです。イタリアやドイツの発泡性ワインも挙げています。11 19世紀末、発泡性ワインの生産は、ロシア、ハンガリー、スペイン、アメリカなどへさらに広がりました。12 しかし、1830年ごろまで他のワイン産地で使用された「シャンパニゼーション」「シャンパーニュメソッド」といった用語は、シャンパーニュ地方がこうしたタイプのワインと技術の起源であるということを示しています。

こうした様々な発泡性ワインの品質はさておき、信ぴょう性の確認された文書によれば、歴史的に見て、シャンパーニュが、限られた地方(シャンパーニュ地方)で、一定の手法をもって現地の生産者により生産された最初の発泡性ワインであると確認することができます。

詳しくはこちらへ

1. BRUN (Jean-Pierre)著「古代地中海地方のワインとオイル-ブドウ栽培、オリーブ栽培と生産工程」パリ、Errance出版、2003年、77ページ。

2. BODEL (Jehan)作「聖二コラの遊戯」、642~762、近代フランス語訳M. Mezghani-Manal、ARGOD-DUTARD (Françoise)著「ワインの国への旅-歴史、アンソロジー、辞書」パリ、Robert Laffont出版、2007年、381ページ。

3. DEVROEY (Jean-Pierre)著「幸せの稲妻」パリ、La Manufacture出版、1989年、103ページ。Watriquet de Couvin著「パリ三夫人の物語」の近代フランス語訳

4. DU FOUR DE LA CRESPELIERE著「サレルム派についての韻文による注解」医者にかからずに済む方法や健康に長生きするための方法を含む。パリ、1571年、714ページ。

5. 発泡ワインは1530年ごろにリムーで「発明」されたという説は確証がうすい。「ブランケット・ド・リムー」の文言が初めて登場するのは1544年のことで、「ブランケットのフラスコ2本」の販売がシユール・ダルク社の帳簿に記載されている。しかし、この「ブランケット」という言葉は、ブドウ品種を示すもので、泡立ちのするワインのことではない。19世紀の初めまで、リムーのワインは、ブドウ栽培協約や旅行記などに、発泡性ワインとしての記述はない。GAVIGNAUD-FONTAINE (Geneviève)、LARGUIER (Gilbert)共著「ラングドック=ルシヨンのワイン-伝統から近代化まで-16世紀から19世紀まで」、ペルピニャン、Trabucaire出版、2007年、26~27ページ。

6.「真の農業の秘密」、Augustin Gallo著、François de Belleforestによるイタリア語からフランス語への訳、comingeois出版、パリ、1572年、86ページ。近代フランス語訳。

7.『ザ・スパークリング・シャンペインで治世を終わりにしよう。哀れに思いつめた恋人たちさえもすぐに元気にする』 ETHERDGE (George)作、「当世風の男」、ロンドン、1676年。JEFFARES (A. Norman)編、Restoration Comedy出版、ロンドン、1974年、1巻、591ページ(第4幕、第1舞台)

8. MUSSET (Benoît)著「シャンパーニュのブドウ栽培地と発泡性ワイン-策略結婚の歴史(1650~1830)」、パリ、Fayard出版、2008年、792ページ。

9. GANDILHON (René)著「シャンパーニュの誕生」、パリ、Hachette出版、1968年、176ぺージに引用。

10. BEGUILLET (Edme)著「ワイン醸造学またはワイン造りとブドウ栽培論」、ディジョン、1770年、30ページ。

11. REDDING (Cyrus)著「近代ワインの歴史と記述」、ロンドン、1833年、407ページ。

12. MOREAU-BERILLON (Camille)著「シャンパーニュの国で-ブドウ畑、ワイン」、ランス、1924年、141ぺージ他。